天野月子を聞くと「海の波」をイメージする。
ハスキーボイスで、明るい曲も悲しい曲もいろいろ歌っているけれど、根底には太い根っこが見えるというか、荒々しさを内包していることが垣間見えるというか。海もさ、穏やかな波の時もあれば、大きくて危険な波の時もある。しかしどちらとも海であり、自然災害と言う切り離せない危険性を秘めており、恐怖や畏怖を抱く。平時はなんともなくても。
そんな海を感じる彼女です。時間帯や歌い方で感じ方が変わる、波のように。でもどの曲を聞いてもなんか、底知れなさと言うか見えない場所がありそうって感じがあるというか。怖いって訳じゃなくてさ、こう、まだ奥があるなっていう、すごみが見える系。
声そのものとしては、水たまりをのぞき込む好奇心を誘発するミステリアスがある。昔、聞かなかった? 水たまりに引きずり込まれる怪談。そんなの近づかなきゃいいのに、と当時は思ったけど、近づかずにはいられない魅力があったんだろうなと今では思う。
ここまで書くと怖い声って思われそうだが、そこはすまない。初めて聞いたのが「聲」だったから、ちょっと先入観がホラー寄りになってるかもしれない。世界観につかるには深みがあっていいんだよ。それこそ海に入って立ち泳ぎしてる気分になる。
ということで、今日はここまで。また次回!